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戦略のパラドックス
2008/04/25 18:11 [Fri]
category:企業戦略論
最近、久々に真面目な本を読みだした。

「戦略のパラドックス」マイケル・E・レイナー(著)、翔泳社(出版社)

未だ1/4程度読んだだけである。だが、現時点での若干の感想らしきモノを書いてみたい。

著者は、前半でこう言っている(今、本を見てこのブログを書いているのではないので、正確性はご勘弁いただきたい)。

成功した企業と失敗した企業には、沢山の共通性がある。「成功した企業」と「失敗した企業」とは対立する概念ではない。
何もやらない企業 ⇔ 成功(失敗)した企業
こう位置付けている。成功か失敗かは、「不確実性」による。“幸運の女神”がほほ笑めば、大きな成功を手にできるし、そうでなければ大きな失敗になると。

確かに、PEST分析等のフレームワークを使用しながら、外部環境の変化を予測し、戦略を立てるべきだと、経営学の教科書には書いてある。KKD戦略(カン(K)と経験(K)と度胸(D))と揶揄される方法に比べて、それは論理的であり、内部組織の動機付けにも好ましい。

だが、仮説はあくまでも仮説であり、現実化するかどうかは、誰にも分らない。

論理的には十分納得できる仮説を立て、またそれが十分納得できる合理的な戦略であるからこそ、社員一丸となってそれに突き進むことになるが、実は、それが倒産の憂き目にあう可能性もまた高い。これが戦略のパラドックスと言われる所以である。

著者は、ソニーの開発商品の幾つかを時系列的に詳細且つ客観的に分析し、当時の戦略の正しさを強調しながら、それでも「不確実性」故に負けたという事例を紹介している。

こうした「不確実性」に対処するためのフレームワークが、この本の中心的内容らしい。

この週末で読み終えたい。

(えっ? 話はこれだけか、って? スミマセン! 汗)

ブランドって、何だろう?(その3)
2008/04/24 19:44 [Thu]
category:ブランド論
CIMG1502.jpg

先日、大阪へ出張した。その帰りに、わざわざ天王寺から道頓堀まで出かけ、「くいだおれ人形」を写真に納めてきた。7月8日で閉店するようだ。

私と同じ目的か、雨の降る中、何人もの人たちが人形の前で「ピース」をしていた。

現在、この人形の行く末がどうなるのかが、世間の関心事である。聞けば、100人(社?)以上の購入オファーがあると言う。大阪人は、大阪の象徴とも言えるこの人形が、外部に買われてしまうことも危惧しているようだ。

私は、これを機に「食事でも」と思い、店内を覗いてみた。
だが、万席である。閉店が伝えられる以前から、ずっと満員だったかは知らないが、閉店を聞き、皆ドッと押し寄せたのではないか。

さて、この「くいだおれ人形」、飲食店の「くいだおれ」としては、これまでどのような価値があったのだろうか。皆、大阪に来た記念として写真を撮るばかりで、飲食をしなかったと想像すれば、そして、そのことが今回の閉店につながったと仮定すれば、苦々しい話ではないか。

「時代に合わなくなった」と言うのが、今回の閉店の理由だとも伝えられている。確かに、道頓堀は、どちらかと言えば若い人たちが多い通りだ。“北”とは違う。店舗の外観、料理のメニューを見ても、若い人たちがターゲットの店ではない。以前は、きっと沢山のオジサンが道頓堀を歩いたのだろうし、若い人も和食を食べたのだろう。そして、皆、この「くいだおれ人形」を目印に、お店に足を運んだ時代があった筈である。その意味では、お店のブランドの象徴が、この「くいだおれ人形」であった筈である。

では、貴方だったらこうした時代の変化(外部環境の変化)にどう対応しただろう?
店舗の外観や、メニューを若者志向に変えて行っただろうか?

大阪はおろか日本全国にも浸透した「くいだおれ人形」、「くいだおれ」は、そのネーミングからも、若者志向のネーミングではない。お店も洒落た欧米の外観にすることは勿論物理的には可能だろう。
しかし、それまで培われたブランドイメージとは大きく乖離する。

(もっとも、一階は、「洋食コーナー」である。時代に合わせようとした努力は見られる)

かと言って、「くいだおれ人形」を撤去するとか、新たなネーミングをお店の名前とするとか・・・。

どこからか、「冗談ではない!」と聞こえてきそうだ。もし、このお店がそんなことをしたとすれば、大阪人は勿論、日本人全員から何を言われるか分からない。
しかし、売上は上がらない。大阪を象徴し、日本全国で知られた「くいだおれ人形」のお店が、閉店を余儀なくされた。

お店のオーナーの悩みはいかばかりかだったか。察するに余りある。

今回の閉店は、「くいだおれ人形」と言う著名ブランドによる自縛から、オーナー自らを開放する、という決断ではなかったのだろうか。

私としては、「お疲れ様でした!!」と言いたい。


ブランドって、何だろう?(その2)
2008/04/11 11:52 [Fri]
category:ブランド論
嬉しいことに、前回のブログに対して、以下のコメントを頂戴した。

私はお客様から支持されることが「ブランド」だと思います。
幾ら良いものを作っても、良いサービスを提供しても、お客様から支持されなければ、ただの自己満足になってしまいます。
最初はどんな商品でも「無名ブランド」です。
お客様に支持されて「有名ブランド」になって行きます。
では、どのようにして支持されるか?
中小企業経営の課題ですね!


おっしゃる通りである。ブランドを上げるため(お客様から支持されるため)には、自己満足ではいけない。自社全体におけるロジカルな客観化が必要である。

そこで、今回は、このコメントに多少答える形でブログを書いてみたい。

但し、この問題は、言うまでも「難問」である。

キーワードだけを列挙しても、「コーポレートブランド」、「プロダクトブランド」、「サービスブランド」、「地域ブランド」等があるばかりか、ブランド価値を上げる努力は、「B2(to)C」、「B2(to)B」、「B2(to)B2(to)C」という企業形態により大きく異なる。つまり、一般消費者が顧客である場合と、企業が顧客である場合とは、「ブランド」を語る上では全く異なるし、直接の顧客は企業であるが、最終的には一般消費者に流通する商品を製造する場合も想定しなければならない。消費者による購買の意思決定プロセスと、企業によるそれとは、全く異なるからだ。

さらに、ブランド価値を上げるための努力は、その企業が提供する「モノ(商品やサービス)」、自社の「顧客」、自社の「リソース(人・モノ・金)」全体から練られた戦略に係る事項であり、それを実行する社内プロセスにも深い関わりを持つ。

このことは、ブランド価値の「向上」を考えるのではなく、その「失墜」を思い浮かべれば、理解し易い。製品の取付プロセスの拙さで、死者が出た事例、食肉の偽装表示が原因で倒産に追い込まれた事例、菓子や高級料亭の偽装表示で営業停止となった事例などは、「CSR(企業の社会的責任)」ばかりではなく、「ブランド価値」と直結する問題である。

もっと卑近な例を挙げよう。
店頭や電話での店員さんの受け答えの拙さで、「も〜アッタマきた。この店には絶対こね〜!」と感じたことが、一度や二度はある筈だ。世間では有名かも知れないが、確実にブランド価値は落ちている。

店員さんの例を挙げて、若干「社内プロセス」を問題としたが、実は、社内だけでしっかりマネジメントすれば、「ブランド価値」が上がるものではない。中小企業(だけではなく大企業も)であっても、調達先(入りの部分)から販売先(出の部分)との関係から、下請け企業やOEM先、ないしはパートナーとの関係も重要である。

言い訳のように聞こえるだろうが、有名ブランドの「ルイ・ヴィトン」や「ROLEX」を例に挙げてお茶を濁すことなく、「ブランド」を真面目に考えれば、広範で深淵な世界である。

(実は、私のブランド価値を失墜しないためにも、冒頭のコメントに、一言二言では答えられない。ええっダメ? 許してくれない?? 汗)

また、書きます。

ブランドって何だろう?
2008/04/09 18:24 [Wed]
category:ブランド論
この語の起源が、牛だか何かの家畜に、“他の家畜と見分けるため“に焼印を入れることらしい。サザンの歌にもある「ブランニューデイ(新しい日)」とは、「焼印をいれたばかりの日」から来ているらしい。(こんなこと、どうでも良いのですが・・・)

どこの中小企業でも、「自社のブランド価値を高めたい」と話される。

では、「ブランド」とは一体何だろう?

「有名ブランド」と「無名ブランド」。
若し、こう分けるなら、少なくとも、商品やサービスを区別するために付けられた「名前(や図形、記号)」が表示されていれば、「ブランド」だ。

しかし、「ブランド」とは、イコール「名前」だろうか?
「ブランド」とまで高められた“何か”がなければ、そう言えないのではないか。

実際、モノの本(ブランド論)を見ても、定説はないようだ。識者もそれぞれの立場で論述している。

ところで、「経験価値マーケティング」という分野がある。
商品やサービスの価値は、その商品の機能やサービスの品質そのものではなく、特定の商品を購入し、身に付けて歩いたり、乗ったり、或いはそのサービスを受けている状態から、それぞれが「経験」・「体験」している状態に価値がある、という(少し乱暴な言い方かも知れませんが)。そうした「経験価値」を上げるマーケティング手法(戦略)は何かをテーマとしたものだ。

バイクの「ハーレー」は、そのバイクの機能や使い勝手,品質が良いから買う訳ではない。「ハーレー」に乗って、アウトローになった気分、社会の価値観や規制に縛られない自分を感じながら、ツーリングに行く。その自分が素適なのだ。「ナイキ」のスポーツシューズを購入する動機は、そのシューズを履いて、有名スポーツ選手になった気分になれるからである。そう言えば、子供のころ、「VAN」のトレーナーやシャツを着て、アイビーリーグの一員になった気分がしたっけ(ちょっと古い?)。

「ルイ・ヴィトンは、品質がイイから買うんだワ〜」と言う女性がいる。確かに品質は良いのだろうが、他にも品質が良い鞄はゴマンとあるから、「ブランド好き」と揶揄されることを避けるための “言い訳”ではないだろうか。

何れにしても、私の流儀に従えば、「ブランド」は、その表示を見て、単に「知ってる」というだけに止まるものではない。そこから、どんな感覚が生まれるか、が問題であり、「それを持って歩きたい」とか「それに乗りたい」、「それを買って・・・したい」という気持ちが起きる人が多くいれば、それは正に「ブランド」と呼ぶに相応しい、と思うのだが、如何だろう?

偽ブランド
2008/03/31 15:57 [Mon]
category:ブランド論
3月26日、山口県警により、皮革製品等製造卸売業者が逮捕された。容疑は、「偽ブランド販売目的所持」だ。自社が経営する店舗内において、ブランド「ルイ・ヴィトン」の商標が入った偽の財布20点(500円/個)を販売したという。

今更ながら、こうした事件は後を絶たない。

理由は、「買う人」がいるからだ。1個500円なのだから、偽物であることは承知の上。民度が低い、と言ってしまえばそれまでだが、この業者、値段からして、ターゲットは子供である可能性が高いのではないか。いや、或いは大人かも知れない。「たった500円なら、話のタネで(又は、シャレで)・・・」という気持ちをかき立てる大人向けのプライシングであることも想定できる。

製造元は中国であることが、ニュースやドキュメンタリーから良く報道される。こうした事態を防止するために、各国は中国に対して規制強化を求め、中国もこれに対処はしているようだが、竹の子のように、摘発してはまた出て来る。やはり、「買う人」がいるからだ。

(この脈絡とは全く無関係ではあるが、中国ではリンゴに商標「青森」が登録され、台湾ではうどん?に「讃岐」が登録されらしく、物議をかもしている)

売っているのは、日本ばかりではない。韓国の南大門市場やタイのパッポン通り等には、あらゆる偽ブランド品が並んでいるし、上海の川淵を散歩していても、日本人と見れば話しかけてくる。観光客のバスの中にも、乗り込んできて売ろうとする。商魂たくましい彼らの腕には、必ずと言って良いほど、金のロレックス(モドキ)が輝いている。
私が、彼らに「高そうな時計してますね」と揶揄すると、「これも偽物です」と、やや顔を曇らせがちに答える。彼らの表情からも、“恥しさ“が垣間見える。

帰国の際、個人的に使用する目的であっても、それが入管で発見されれば、没収を強要されるし、その量が多ければ、個人使用とは判断されず、法的処分を受ける。

ところで、こうした偽ブランドの製造販売に関して、「誰も、本物だと思って買う人はいないのだから、商標法で言われる“出所の混同”など生じていない。」とする主張がある(あった)。

確かに、商標権侵害では、「あの業者が、我が社の登録商標を使用しているから、我が社の商品であると誤認して(出所が混同して)、大変な迷惑を被っている。」という主張・議論がされる。
しかし、偽物ブランド商品を、「ルイ・ヴィトン」や「シャネル」だと思って買う人はいないし、売る側も日本語で「ホンモノソックリ〜!」と日本語で話しかけてくるのであるから、両者承知の上での取引だ。

しかし、こうした偽ブランドの製造販売が違法とされる趣旨は、「出所の混同」が生ずるからではない。他人の有名ブランドの価値にただ乗り(フリー ライド)して利益を得る所に問題があるのである。有名ブランドの商品と同じ素材が使用され、デザインも同じでも、有名ブランドが表示されていなければ、通常、誰も買わない。いくらそれが安くても。

有名ブランドの名前を付けたホテル,バー、スナック、喫茶店等が摘発されるのもこのためだ。

高いブランド価値を得た場合、それに伴う経済的利益(それに伴う知的財産)は、民事・刑事両面から、保護するメニューを国は用意している。

今後機会があれば、ブランド価値の向上を目的とした戦略について書いてみたい。